映画「初恋ロスタイム」の感想

不可思議な現象を共有する予備校生・孝司と女子高生・時音の愛と成長の物語です。

始めは、ちょっともどかしさもありながら、爽やかさ溢れるふたりの微笑ましい恋物語に見えました。

恋の始まりの、幾ばくかの戸惑いとほんわかとした気持ちが表れて、今後を見守りたくなります。

時音がかわいらしく明るくて、元気いっぱい、とても魅力的です。

でもどこかミステリアスで、何か抱えているようなのが気になったんですよね。

これはなぜ?

どういうことなのかと、どんどん怪しげな空気になるも、何が隠れてるか想像もできませんでした。

孝司と心を寄せ合って、幸せな時を重ねていくのかなと思いきや、時音の真実が分かって、驚きと一気に不安な流れに。

まさか、あの屈託のない笑顔の裏にこんな大変なことがあったなんて。
長い間、どんなにか我慢と苦しみを重ねてきたのだろうと。

本来なら、楽しい青春を謳歌しているはずだったかもしれないのに。

どんな気持ちで孝司と会っていたんだろうと考えて胸がざわめきました。

ふたりの経験した不思議な時間には一体どんな意味があるのか、時音の運命はどうなってしまうのかと、ハラハラする展開になっていくんですよね。

ファンタジー要素だけではなく、重い現実が急に顔を出し、戸惑いとともに最後まで見逃せないと引き込まれます。

孝司は優しくて料理好き、勇気と聡明さも併せ持つ場面も描かれ、素敵なところが色々ある反面、何ごとも諦めがちになっています。

そのような性格になったのは、小学生の時の悲しい出来事が発端で、今も心の傷が癒えずにいるんだなとつらくなりました。

父親がやけに厳しく、息子に寄り添うなどの愛情が感じられないのも寂しくて。

本当は愛がなかったわけではなく、父として息子の気持ちを汲む温かみを感じさせる場面が後に描かれ、ホッとする。

父も悲しみの中で、息子への本心が素直に表せないことに悩んでいたのでは??

孝司の、父に対する誤解が解けた場面は、それで悲しみが消えたわけではないだろうけど受け止めることができて、孝司の中で何かがひと段落つきそうだと感じました。

孝司が時音との出会いにより、変わっていく流れに見どころがあります。

時音のため、重大な決断をする孝司が意外にも骨太で、感心してしまうのですが、複雑な気持ちにもなります。

もちろん、時音とともに幸せになってもらいたいし、そうなるべきとも思うけれど、孝司自身はホントにやや不安。

父に対し、落ち着きを持って自分の決断を話す姿は頼もしく、もしかしたら奇跡が起きるのではと期待が膨らみます。

決して一時の感情に任せてのことではなく、時音の存在が孝司にとって本当にかけがえのないものになっていたんだと胸を突かれました。

その決断によって生じるかもしれないリスクもしっかりと理解し、受け止めている姿はすがすがしいものがあります。

もちろん、あの若さで簡単なことではないのに、時音に対する強く深い愛情がひしひしと伝わりました。

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